Angels & Airwaves – 『Lifeforms』レビュー

Angels & Airwaves(ΛVΛ)による2014年の5th AL『The Dream Walker』から実に7年振りとなる本作『Lifeforms』。個人的にBlink-182の中でもTom DeLonge(トム・デロング)が当時からずっと好きなこともあり、かなり久しぶりなアルバム単位でのリリースが本当に楽しみでした。

そういう前提もあるので最初からイニシアチブのある状態ではあるのですが、そうでなくてもこのアルバムの完成度はこれまでの彼のキャリアの中でも上位に位置するものだと考えています。

アルバム『Lifeforms』

初期衝動への回帰

ロックンロールは、ポップであることやポピュラーであることが目的ではありません。ですから、ロックンロールにおける私たちの仕事は、超本物であること、そして人々が共感できるような視点や、できればポジティブな方法で人々に違った考えを起こさせるような視点を発信することです。
UPROXX | After Proving The Existence Of UFOs, Tom DeLonge Returns To Music With A New Angels & Airwaves Albumより引用

トムにとっての音楽的初期衝動となったのは、パンク・ミュージックもそうですが、それ以上に1980年代のニュー・ウェーブが非常に大きいです。

Depeche ModeやThe Cure、New OrderにSiouxsie and the Bansheesは今回も当然のようにリファレンスとして挙げられますし、The Whoのように後のパンク・ロックに影響を与えたバンドたちも、トムが音楽を始めたときからの大きな影響源というのはコモンセンスですね。

今回のアルバムでは、自分が子供の頃に夢中になったニュー・ウェーブ、パンク・ロックにポスト・ハードコアなどの要素を取り入れつつ、バンドの初期のサウンドに戻ることを意識して制作したそうです。

キャリア包括的アルバム

「すべての曲は根本的に違うが、自分のキャリアの中で音楽的にやってきたさまざまなことの集大成だ」
NME | Five things we learned from our In Conversation video chat with Tom DeLonge

引用にもあるように、今回のアルバムは確かにトムのこれまでの音楽的キャリアをなぞるようなテイストの楽曲で占められています。

"Spellbound"はDepeche Modeから、"Automatic"はモロにThe Cureなサウンドです。

"Euphoria"はBox Car Race時代のハードコアな一面が見られますし、"Restless Souls"はいかにもトムらしい雰囲気。

しかしそのどれもが以前のΛVΛと同じではなく、バンドがチームとして機能しているからこその新しさを備えた楽曲になっているように感じます。

第二期にして最高布陣のバンド編成

入れ替わりがそれなりに多い印象のあるバンドですが、ここ2年で安定したように見えます。

特に2011年からの盟友的存在のドラムスIlan Rubin(アイラン・ルービン(Nine Inch Nails))とその兄でありプロデュースを務めるAaron Rubin(アーロン・ルービン)の存在はバンドそのものの在り方を変えてしまうほどの良い影響を得たようです。

楽曲制作もルービン兄弟とTomの3人が基本なようで、アイランは以下のように発言しています。

トムは自分のアイデアをテーブルに出し、頭の中にあるものをすべて吐き出します。アーロンはそのすべてをコンピューターに取り込み、少しずつ遊んでいく。彼らが良いと思うところまで持っていくと、それが私に送られてきます。
Music in Minnesota.com | INTERVIEW : Ilan Rubin of Angels & Airwaves

彼にとって私が興味深かったのは、ただドラムを叩くだけでなく、もっと協力的な人を探していたことでしょう。彼はちょうど、自分の翼を少し広げて、音楽を広げてみたいと思っていたところだったんだと思います。私がマルチ・インストゥルメンタリストであり、すべての曲を書いて歌うソロ・ミュージシャンであることは、彼にとって非常に魅力的でした。だから、すべてがうまくいったのです。二人ともサンディエゴ出身で、同じような人たちを知っているし、彼は単なるドラマー以上のものを求めていたし、僕にはそれを実現する時間があった。だから、こうしてうまくいってよかったよ。
Music in Minnesota.com | INTERVIEW : Ilan Rubin of Angels & Airwaves

また、バンド初期のメンバーにして別バンドBox Car Racerでも一緒に活動していたギタリストDavid Kennedy(デヴィッド・ケネディ)も2018年より復帰。

2019年加入のMatt Rubano(マット・ルバノ)はTaking Back Sundayの元メンバー。さらにLauryn Hill、Mos Def、Mary J. Bligeなど。Hip HopやR&Bといった他ジャンルにもレコーディング参加やライブ出演するなどかなり多彩なベーシスト。

4人とプロデューサーのアーロンで合計5人編成。それぞれの過去のキャリアから考えても、今のΛVΛのラインナップは過去最高の布陣であるといっても過言ではないかと。

映画監督デビュー

2017年に政府公認の団体「To the Stars... Academy of Arts & Sciences」を設立し、宇宙人の存在を調査したり、映画や本などのエンターテインメントを制作したりしてきたトムですが、2021年に映画監督デビューを果たします(という予定でしたが、現時点で「完成間近」とのこと)。

『Monsters of California』というタイトルで、SFアドベンチャー作品とのこと。内容的には「もしスピルバーグが過去に戻って、R指定のインディーズ超常現象映画を作ったら…」というものだとか。

ちなみに他に5本の映画脚本があるらしく、今後も映画関連の仕事は継続していくそうです。

Blink-182時代から陰謀論や宇宙人のことを話しているのを知っていたし、当時から「何を言っているんだ…?」と思っていたのですが、会社は政府公認、映画やサントラなどのエンタメで分からせてこようとするなど、時代が完全にトムに追いついてきてしまっています。ここまでされるとちょっと感服ですね。

当然映画のサントラもΛVΛ制作。2014年の前作から今回のアルバムまでスパンがあったのも、テレビ番組のプロデュース業だったりサントラ制作だったりと色々忙しかったからのようです。

おわりに

10曲38分とコンパクトにまとめられたアルバムだからこそ似た楽曲がなく、何回も聴ける。こういうアルバムらしいアルバムがやっぱり好きなんだなぁと再確認した次第でございました。

では。

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