アルバム紹介

2021年1月のおすすめ新譜

話題になった、もしくは個人的に気に入った新譜アルバムをジャンル別に分けて取り上げていきます。

基本的に「拠点」「ジャンル・音楽性」辺りを中心として、ちょこっと感想を述べていくので、あなたに合ったジャンルを選んで探していただくと良いかと思います。

2021年1月のおすすめ新譜

Rock

Shame - Drunk Tank Pink

1月15日リリース。イギリス、サウス・ロンドンの4人組Post Punkポスト・パンクバンド、Shameシェイムによる2ndアルバム『Drunk Tank Pink』。

パリ郊外のスタジオLa Frette StudiosにてJames Fordジェームス・フォードをプロデューサーに迎えての録音。タイトルは「収容者を落ち着かせる効果があると言われている独房で使われている色」にちなんで名付けられたものなのだとか。ボーカルのCharlie Steenチャーリー・スティーンの寝室の色もなぜかそれ。やっぱり怖いよこの人。

1stは若さや初期衝動が前面に出ていましたが、今作は早くもその鳴りを潜め、玄人めいた暗い雰囲気のPost Punkが。

ハイライトはドラムの疾走感とギターの音が素晴らしい"March Day"とTalking Headsを彷彿とさせる"Water in the Well"、ベースラインがクールな"Human, for a Minute"。

Lonely the Brave - The Hope List

1月22日リリース。イギリス、ケンブリッジの5人組Post Hardcoreポスト・ハードコアバンド、Lonely the Braveロンリー・ザ・ブレイブによる5年振りの新作3rdアルバム『The Hope List』。

2018年にボーカルのDavid Jakesデヴィッド・ジェイクスが脱退し、代わりにソロ名義Grumble Beeグランブル・ビーで活動していたJack Bennettジャック・ベネットが加入しました。

彼らのこれまでの作品は聴いたことがなかったので遡って聴いてみたところ、ボーカル変更に伴って明らかに音楽性が変わったなと感じました。新加入したJackはソロ作全ての楽器を自らで手掛け、自分のスタジオにこもって制作していた実績もあるため、それがモロに反映されたんだと思います。

ハイライトはFightstarファイトスターを思い出させる"Bound"、(全体的にそうなのですが、特に)Mogwai感のある"The Harrow"、UKのHardcoreらしい"Bright Eyes"。

Viagra Boys - Welfare Jazz

1月8日リリース。スウェーデン、ストックホルムの6人組Post Punkバンド、Viagra Boysバイアグラ・ボーイズによる2ndアルバム『Welfare Jazz』(ひどいバンド名だ…)。

フロントマンのSebastianセバスチャンは、幼少期からカントリー・ミュージックを傾聴しており、今作はその影響を反映させたアルバムとなっています。アルバムはJohn Prineジョン・プリンのカバーで締めくくられているほど。

また、アルバム・タイトルに"Jazz"とあるように、今作は「Free Jazzフリー・ジャズの中にボーカルが入っている」というニュアンスで制作されたのだとか。とはいえ、前作も『Street Worms通りのミミズ』で、今作収録曲も"Secret Canine Agent"(秘密の犬のエージェント)ですし、遊び心を添えたようなタイトル・センスなのでしょう。

ハイライトはViagra Boys流カントリー"Toad"、~流ディスコ"Girls & Boys"、Tom Waitsトム・ウェイツのような"I Feel Alive"。

その他おすすめRockアーティスト

  • LICE - Wasteland: What Ails Our People Is Clear
  • Cheekface - Emphatically No.
  • Codist - A Dream Is Just a Big Thought

Country

Pearl Charles - Magic Mirror

カラー・ヴァイナル買いました。1stに続いて2ndも素晴らしい音楽で嬉しい限り。

1月15日リリース。アメリカ、カリフォルニア州ロサンゼルスのカントリー・シンガーPearl Charlesパール・チャールズによる2ndアルバム『Magic Mirror』。

前作は思いっきりカントリーだったのですが、今作ではそこからの脱却を図ったそうです。しかし、「結局カントリーが根底にある」ことに気付いたそうで、最終的に「カントリーありき」でディスコやソウル、ソフト・ロックなどのジャンルを取り入れるようにして、作品に色付けをしていったのだとか。前作以上にカラフルで、1970年代を総まとめにしたような音楽になっています。

前作よりも音がまろやかになり、金管楽器やオルガンなどのブラスバンドが追加されたことでよりキラキラしていて、個人的にかなりの愛聴盤になりそうです。

ハイライトはABBAの"Dancing Queen"のオマージュ"Only for Tonight"、美しい弾き語りの"Magic Mirror"、ラストの曲にふさわしい爽やかさと華やかさを備えた"As Long As You're Mine"。

Steve Earle & The Dukes - J.T.

1月4日リリース。アメリカのヴァージニア州に生まれ、現在はテキサス州を拠点としているカントリー・シンガーSteve Earleスティーブ・アールと彼のバンドThe Dukesザ・デュークスによる21枚目のアルバム『J.T.』。

薬物の過剰摂取で2020年に亡くなった息子にしてアメリカのルーツ音楽を探求していたJustin Townes Earleジャスティン・タウンズ・アール(J.T.E.)に捧げた今作は、最後の曲を除いてJustinの楽曲を父のSteveがカバーしたアルバムになっています。上にSpotifyに聴き比べ用のプレイリストを貼っておきましたので、聴き比べる際はぜひそちらをご利用ください。

ハイライトはなんと言ってもラストを飾る唯一のオリジナル楽曲"Last Words"でしょう。サビの歌詞が『Last thing I said was, "I love you" / And your last words to me were, "I love you too"』((電話で)最後に「愛してる」と言った。お前の最後の言葉も「私も愛してる」だった)で、めちゃくちゃ泣けます。

父と子の悲しくもどこか暖かいコラボレーションは、僕のことも少し童心に帰してくれます。たまには電話してみようかな…。

Barry Gibb - Greenfields: The Gibb Brothers' Songbook, Vol. 1

マン島出身のグループBeegeesビージーズの3兄弟長男Barry Gibbバリー・ギブによる新作『Greenfields: The Gibb Brothers' Songbook, Vol. 1』も良かったです。Jason Isbellジェイソン・イズベルBrandi Carlileブランディ・カーライルDolly Partonドリー・パートンなど、そうそうたる面子をデュエット・パートナーとして迎え、Beegees時代の楽曲をセルフ・カバーを披露しています。

イギリスのマンチェスターより。1月8日リリース。

Folk

Buck Meek - Two Saviors

1月15日リリース。アメリカのニューヨーク州ブルックリンのIndie Rockインディ・ロックバンド、Big Thiefビッグ・シーフのギタリストとして知られるBuck Meekバック・ミークによる2ndアルバム『Two Saviors』。

バック・バンドは前作と同じでGt. Adam Brisbin、Ba. Mat Davidson、Dr. Austin Vaughn。マスタリングにはBjorkビョークJulianna Barwickジュリアナ・バーウィックSlowdiveスロウダイブBeach Houseビーチ・ハウスなど、多彩なジャンルの音楽を手掛けてきたHeba Kadryヘバ・カドリー

ハイライトはBig ThiefのAdrianne Lenkerエイドリアン・レンカーとの共作"Candle"、カントリー・ライクな"Cannonball! Pt. 2"、涼し気なフィドルの音色が心地良い"Pocketknife"。

Axel Flóvent - You Stay by the Sea

1月15日リリース。Icelandアイスランド出身、フォーク・ミュージシャンAxel Flóventアクセル・フローベントによるデビュー・アルバム『You Stay by the Sea』。最近はイギリスのブライトンを拠点としているそう。

父はギター・コレクターで兄も作曲家、さらに叔父がÁsgeirアウスゲイルという音楽一家の中で育まれたセンスは今作を聴いて分かる通り抜群で、ColdplayコールドプレイなどUK叙情派(死語)やBombay Bicycle Clubボンベイ・バイシクル・クラブの2ndアルバム『Flaws』が好きなら間違いない存在かと。

ハイライトは壮大なバラードの"Tourist"と"Still Awake"、楽曲の展開が美しい"Fall Asleep"。

その他おすすめFolkアーティスト

  • Beautify Junkyards - Cosmorama
  • James Yorkston & Second Hand Orchestra - The Wide, Wide River
  • Dave Scanlon - Pink in Each, Bright Blue, Bright Green

R&B

Aaron Frazer - Introducing...

1月8日リリース。Durand Jones & The Indicationsドラン・ジョーンズ&ザ・インディケーションズのドラムスとして知られるAaron Frazerアーロン・フレイザーによるソロ1stアルバム『Introducing...』。バンドはインディアナ州が拠点ですが、彼はニューヨーク州ブルックリンで活動中。

プロデューサーはThe Black Keysザ・ブラック・キーズDan Auerbachダン・オーバック(ギター、コーラスとしても参加)。ベースにはAmy Winehouseエイミー・ワインハウスの2nd『Back to Black』やMark Ronsonマーク・ロンソンとコラボしたThe Business Intl.ザ・ビジネス・インテルの一員として知られるNick Movshonニック・モヴション。他に金管楽器隊や鍵盤楽器隊など多数のスタジオ・ミュージシャンを従えた、強力な布陣のアルバムとなっています。

ハイライトは弾けるようなピアノとホーンが心地良い"If I Got It (Your Love Brought It)"、Mayer Hawthorneメイヤー・ホーソーンのような"Have Mercy"、Curtis Mayfieldカーティス・メイフィールドMarvin Gayeマーヴィン・ゲイなど1970年代風R&B"Bad News"。

Rhye - Home

1月22日リリース。カナダのトロント出身、アメリカはカリフォルニア州ロサンゼルスにて活動中のミュージシャンMike Miloshマイク・ミロシュの別名義Rhyeライによる4thアルバム『Home』。

Rhyeはずっと知っていたしちょこっとだけ聴いたことはありましたが、イマイチハマりきれませんでした。なのに今作はフィットしました。アナログ・シンセの浮遊感たっぷりな余裕のある音、メリハリがあって程良くタイトなリズム隊など、落ち着いて聴けるのが良いですね。

ハイライトは浮遊感の心地良い"Come In Closer"、ディスコ・ファンクな"Black Rain"、コーラスがひたすら綺麗な"Holy"。"Black Rain"のPVには映画「キック・アス」の主演アーロン・テイラー=ジョンソンが出演。

Hip Hop

Nyck Caution - Anywhere But Here

1月15日リリース。ニューヨークのHip Hop集団Pro Eraプロ・エラの一人、Nyck Cautionニック・コーションのデビュー・アルバム『Anywhere But Here』。

彼の作品は2016年のデビュー・ミックステープ『Disguise the Limit』を当時結構聴いていたのですが、明らかに良くなってますね。年月を考えると当たり前かもしれませんが。前より優しい声、流れるようなフロウにまろやかなトラックと、大分メロウな仕上がりになっています。

ハイライトはサビが最高な"Motion Sickness"、アルバム中最もハードな楽曲"Bad Day (feat. Denzel Curry)"、三者三様なラップが素晴らしい"Product Of My Environment (feat. Kota the Friend & Erick the Architect)"。

Kota the Friend - Lyrics to GO, Vol. 2

ニューヨーク州ブルックリンのラッパーKota the Friendコタ・ザ・フレンドによる、3作目となるミックス・テープ。10曲で15分ほどの短い作品。1月18日リリース。

ということで、GC Beatsが過去にYouTube上にアップしていたtype beatsが楽曲として使われているみたいですね。以下に一部だけ紹介。ラップはスムースで気持ち良いです。

その他おすすめHip Hopアーティスト

  • Smoke DZA, Nym Lo & Jayy Grams - R.F.C (Money Is the Motive), Pt. 1
  • UnoTheActivist - Unoverse

Jazz / Ambient

Sarah Dutcher - Letters to the Afternoon

1月1日リリース。ニューヨーク州ニューヨークで活動するピアニスト・作曲家のSarah Dutcheサラ・ダッチャーによるデビュー・アルバム『Letters to the Afternoon』。Spotifyにはないみたいですね。

ピアノ演奏の学士号を持ち、ジャズ・スタンダードやドビュッシーなどフランスのクラシック音楽家らからの影響が強いということで、かなり本格的なピアノ演奏が楽しめます。今年は読書時間を確保していて、歌声のないアルバムを歓迎しているため、個人的には珍しくこういったアルバムを好んで選ぶときがあります。

Biosphere - Angel's Flight

1月22日リリース。ノルウェー拠点のアンビエント作曲家Biosphereバイオスフィアによるアルバム『Angel's Flight』。

ベートーヴェンの「弦楽四重奏曲第14番」をベースにして作られた作品で、1992年よりノルウェーにてコンテンポラリー・ダンスでアートを表現しているIngun Bjørnsgaard Prosjektというチームのダンス作品『Uncoordinated Dog』のために作曲された作品とのこと。

こちらも読書用として聴いているのですが、これに関してはレコード入手もできそうなので、後日レコードで買おうと思っています。BiosphereといったらAmbient界でも有名ですし、間違いないですしね。

予想通りダンスは意味不明でした←

その他おすすめJazz / Ambientアーティスト

  • Azmari - Samā'ī(Ethio-Jazz)
  • Stimulator Jones - La Mano(Jazz Hip Hop)
  • Patricia Brennan - Maquishti(Ambient)
  • Elori Saxl - The Blue of Distance(Ambient)

おわりに

22日も経つと2021年もやっと始まったなって気持ちになってきますね。早くも「おっ」となるようなアーティストが沢山出てきて、生活が潤ってきました。

29日にも1月分リリースが残ってますので、それはまた後日こちらに更新します。